2024/10/25 コラム
重大交通事故の被害者支援
被害者の死亡や重度の後遺障害など、重大な被害を生じた交通事故事件のご依頼を受ける機会が増えています。
交通事故被害者の損害賠償請求については、ほとんどの弁護士が取り扱っているかと思います。
しかし、重大な交通事故被害については、民事の損害賠償請求手続だけで完結するものではありません。
刑事事件の捜査状況に関する情報収集、起訴罪名についての検察庁への意見書の提出(特に危険運転致死傷罪の適用が問題になるケース)、加害者が起訴された後の刑事裁判への被害者参加や心情意見陳述のほか、世間の耳目を集めるような重大な事故では、報道機関への取材への対応なども、被害者の支援に当たる弁護士が取り組むべき業務に含まれてきます。
被害者やそのご家族の希望があるにもかかわらず、これらの業務のいずれか一つでも対応できないというのであれば、弁護士として当然に果たすべき任務を放棄していると言わざるを得ません。
重大な交通事故事件において、総合的な被害者支援の必要があることは、弁護士会の中でも少しずつ認知されるようになってきてはいますが、損害賠償請求の手続しか対応できないという弁護士はいまだに少なくありません。
交通事故案件に取り組む弁護士には、民事の損害賠償請求だけでなく、被害者やそのご家族が必要とする支援にフルメニューで対応してほしいと強く願っています。